111X / Envy
http://changeless.bandcamp.com/album/envy
フィンランドはヘルシンキを拠点に活動するアーティスト111Xの新作。Infinite Machineからリリースされた前作"Aches"から2年ぶり。
今回のリリースは、彼と同じくヘルシンキで活動するExploited Body、APEAK、SITOI、そして111Xの4人で運営されているレーベルChangeless(https://www.changeless.net/)から。
昨年から始動したようですがどれもクオリティ高いです(http://changeless.bandcamp.com/album/kyyhky)。今後も要チェックなレーベル。
今作も暴力的でありながら艶のあるシンセを鳴らしています。以下bandcampの紹介文訳
「111Xはフィンランドで最も音響的に壊滅的な創造力を持つ作曲家の一人です。 数年の間、インスタレーションや音響彫刻、自身の楽器の製作に携わってきたヘルシンキを拠点とするこの作曲家が、最新作を携えて帰ってきた。
Envy "では、彼のカタルシス的な作曲は、繊細なメロディーが痛烈で廃墟のようなアレンジの中に響き渡り、無限の破滅を示している。 緻密なノイズの炸裂によって、窒息するような声が押しつぶされていくように、「Envy」は圧倒的な安らぎを感じさせてくれる。」
昨年日本に留学に来ていたタイミングで彼を招いてイベントを打ちましたが、とても優しい人柄で、イベントにも好意的に取り組んで頂いてとても助かったのを覚えています…。コロナ禍が落ち着いたらまた日本に来て欲しいですね。次はChangeless Takeoverで!?
https://www.instagram.com/p/B2PSDtzlYKm/?igshid=ebf8kv9c7c9a
Obsequies / Carcass EP
http://meinenacht.bandcamp.com/album/carcass-ep
2017年に傑作"Organn"(http://obsequiesknv.bandcamp.com/album/organn)をリリースしたベルギーのアーティストObsequiesの3年ぶりの新作となる今回はイギリスはリバプール拠点のレーベル/イベントのMeine Nachtから。
前作で愛と二重性を作品の核とし、煙たく曖昧だけども確かな情熱を感じさせる世界観を表現した彼ですが、今作はしなやかで煌びやかなシンセをよりぶちぶちにチョップしてて躁鬱具合が増した印象。そこに女性の悲鳴なんかがコラージュされてて、自分なんかは聴いてて思わず唸ってしまう。
bodとSsalivaの2人によるリミックスもとてもいいですね。Aho Ssanと並んで今パフォーマンスを最も見たいアーティストの1人です。
ちなみに前作のOrgannはRadd Loungeがブログでレビューを書いてるので気になる方は合わせてチェックしてみて下さい。
Aho Ssan / Simulacrum
http://ahossan.bandcamp.com/album/simulacrum
パリを拠点に活動するAho Ssan (本名Désiré Niamké)のデビューアルバム。ベルリンのSubtext Recordingsから今年の2月にリリース。
Subtext Recordingsは今年5月にRoly Porterの作品(http://rolyporter-subtext.bandcamp.com/album/kistvaen)をリリースしてたり、去年はポルトガルのGonçalo Penasの怪作(http://goncalopenas.bandcamp.com/album/ego-de-espinhos)をリリースしてたり凄いですね。個人的にこのレーベルからのリリースはチェックするようにしてます。
今作はフランスの社会学者ジャン・ボードリヤールの著書「シミュラークルとシミュレーション」からインスピレーションを受けているそうで、音楽的には細かくカットアップされたシンセ、ノイズが不規則なテンポで繰り出され、漏電して火花を飛ばしながら光る青やピンクのネオンで覆われた道を歩いている、みたいなディストピアSFを連想させる世界観な仕上がり。
こういう叙情と激情が入り乱れた電子音楽は毎年1、2枚は見つけるのですが今年はこれです。これからが楽しみな才人。
ちなみにM6、M7で客演としてクレジットされているThe Mensah Imaginary Bandは彼がプログラムして作り上げた架空のバンドで、トランペット奏者だった彼の祖父からもじられたそうです。